１ 商標法の目的
商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって、産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とするものです（商標法１条）（以下、本稿では特段の断りがない限り商標法を「法」といいます。）。
２ 商標の機能・意義等
２．１ 商標の機能
２．１．１ 自他商品識別機能
商標は、事業者が、自己の商品を他人の商品と区別させるために用いるものである点で、自他商品識別機能を有します。
そこで例えば、ガムの包み紙に記載されている「ガム」という文字のような普通名称や、「甘み控えめ」という文字のような品質表示語は、自他商品識別機能を有しないので、商標ではないはずです。しかし、これらの文字も商標法上の「商標」の定義に該当してしまいます。このことはのちに詳しく記載します。
商標が、自他識別機能を有する結果、特定の商標が使用されている商品は、特定の誰かの出所に係ることを表示することができるという出所識別機能を有します。
この出所表示機能は、特定の●●社という出所にかかることを表示するという意味ではなく、同一の商標が使用されている商品・役務は同一人の出所にかかることを表示できるという意味であり、商標から直ちに特定の●●社が示されるものではありません。
２．１．３ 品質保証機能
商標が出所表示機能を有することから、事業者は自己の商品の質の維持、向上に努力することになるが、その結果として、商品の質の均一化が生じる。これを消費者の側から見ると、同一商標の使用された商品は品質的に同一であることが期待でき、これを品質保証機能といいます。
商標が大量に使用され、消費者の脳裏に刻み込まれるようになると、消費者は無意識のうちにその商標の付された商品に対して肯定的評価を与えるようになります。これを広告宣伝機能といいます。
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