商品とは、有体物かつ動産であり、流通性があり、商取引の対象となっているものです。
役務とは、他人のためにする労務または便益であって、付随的ではなく独立して市場において取引の対象となるものをいいます。
役務については、従来商標登録が認められていませんでしたが、フランチャイズのような経営の大規模化、全国化が進み、サービス提供地域が拡大されたこと等により、平成3年商標法改正により、役務についての商標登録が可能となりました。
商品と役務の区別が問題となるものとして、ネットで音楽配信をする事業があります。
ネットで音楽を配信する事業については、ダウンロードした音楽を繰り返し聴くことができるかにより商品分類が異なります。インターネット経由で送られてきた音楽をパソコンで聞き、一回聴いたらおしまいという場合には、商品分類は国際分類第41類の「音楽の提供」となりますが、音楽を自己のPC、CD、MDに保存し繰り返し利用することができる場合には、CDを買ったものと同じ扱いとなり、商品指定は第9類の「4 インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル」となります。但し、実際には両者を指定商品(役務)として商標登録がなされている場合が多いと思います。
また、通販カタログのタイトルの商標登録の際も、商品分類が問題となることがある。
たとえば、「通販生活」という通販カタログのタイトルについては、第16類の「印刷物」を指定商品としているほか、そのカタログに掲載されている商品を広範囲にわたり指定商品として商標登録しています[1]。
[1] この点が問題となった裁判例として、「シャディ事件」(東京高判平成12.8.29判時1737.124)があります。これは、カタログによる通信販売業者が、指定役務を「多数の商品を掲載したカタログを不特定多数人に配布し、家庭にいながら商品選択の機会を与えるサービス」としてなした商標登録出願を拒絶した審決を支持したものです。
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